競売
品物の真の価値を見出し、適正な価格を決定していく競売。
目利きの腕のみならず、駆け引きにも秀でた者がこの世界での成功者となる。
その道は決して易しくはない。
●主な種類
▼競り
最も一般的な競売方法とされる。
競売品に対し複数の買い手に値をつけさせ、最高価格を提示した者に売る。
▼競りによる競売風景

▲13巻93頁より
▼交し
物々交換による競売。
複数の買い手が現金の代わりに物品を持ち寄り、その中から売り手が気に入った一品を選択し、競売品と交換する。
▼縛り
条件を伴う競売。
落札には一定の条件をクリアする必要がある。
自治体等から公認されていない私的競売、いわゆるヤミ競売から発生したとされる。
▼その他
地下競売が挙げられる。
所持しているだけで法に抗う物品(例えば保護獣や重火器)や盗品などを競売品としていることがヤミ競売とは異なる。
ヨークシンシティでは、主に
マフィアンコミュニティーが地下競売を取り仕切っている。
この競売は落札額の5%を手数料(会場の使用料、搬入に伴う費用など)としてコミュニティーに納付するルールとなっている。
なお、運搬料は名目上のことで、実際には
陰獣の
梟がいるため、費用はほとんどかからない。
このことは、当然ながら地下競売参加者には明らかにされていない。
◆地下競売へ出品された競売品
懸賞金のみ条件競売(縛り)、その他は競りによる競売。
なお「クルタ族の眼球」は、29億ジェニーで
ライト=ノストラード(代理人:クラピカ)が落札した。
出品実績は以下のとおり。
・コルコ王女の全身ミイラ
・俳優ソン・リマーチ使用済ティッシュ(DNA鑑定書付き)
・
クルタ族の眼球
・懸賞金(条件:指定人物の捕獲/1人につき20億ジェニー)
・ユル国宝館所蔵の純金製処刑刀
・ライ王朝の青磁器「青雲文壺」
◆入札の参加方法(サザンピースオークション)
上3桁の金額を単位とし、入札を行う。
入札者が以下のとおり手で合図を行うことにより、競売が進行していく。
なお、入札額の桁が上がれば、サインも同様に繰り上がった格好で行う。
●競売市
▼値札競売市
商品に貼付された値札に、買い手が金額を記入する競売の方式。
規定時間内に一番高い金額を記入した者が、その品物を手に入れることができる。
市の様子は、現実世界のフリーマーケットを思わせる。
また、一般市民が気軽に参加できることから「蚤の市」「ガラクタ市」などと揶揄されることもあるようだ。
しかし、その中には思わぬ掘り出し物が眠っている可能性も否定できない。
▼木造蔵。中には高価な財宝が入っている

▲10巻76頁より
▼業者市
競売品の仲介を目的とする、いわゆる卸業者のための市。
現物のみを頼りに競りが行われるため、真贋は言うまでもなく、物品の価値を抵当に鑑定できる技術が必要となる。
鑑札の入手により一般人も参加できるが、希望の品を競り落とすことは、自らの鑑定眼のみに委ねられる。
なお、競り落とした品物は、現金にて購入することが原則となっている。
▼カタログ。高価であり、一般人には所持するだけでも困難

▲10巻30頁より
▼下見市
オークションの目録(カタログ)掲載に、何らかの理由で間に合わなかったものを公開する市。
名のとおり、業者市などへのつなぎとしての役割を果たし、物品をその場で落札することはできない。
なかには競争を有利にする目的で、品物に言いがかりをつけるなどして、価格を落としにかかる悪質な業者も存在する。
▼入場券。カタログに同封されている

▲10巻31頁より
●競売品の鑑定
▼鑑定師を欺く「殺し技」
競売品の鑑定は、贋作との闘いでもある。
富豪の脱税行為のために作られた隠し金庫、木造蔵。
贋作師が鑑定師を騙す手口は「殺し技」と呼ばれ、木造蔵の場合、以下のものに代表される。
▼木造蔵の殺し技
鑑定師を欺く殺し技。
仕掛ける場所は蔵の中の財宝【A】、入れ物である木像【B】、接着面の接合剤【C】に大別される。
◆ガン
中身である財宝と、入れ物である木像両方が偽物であることを指す。「(完全な)贋作」が語源。
◆ヌキ【A】
入れ物である木像が本物で、財宝を偽物とする方法。
「中身を抜く」が語源。
財宝については、以下の状態が挙げられる。
A:全てを偽物とする。
B:本物を少し残しておく。
C:公開時には本物を見せ、引き渡し時には偽物にする。これは「下見市:真→競売時:贋」、「競売時:真→引き渡し時:贋」など複数の場合が挙げられる。
D:安物とすり替えておく。これは「最近の安物」「当時の安物」の2種類が挙げられる。
◆アトボリ【B】
入れ物である木像を後から制作する方法。
このとき、素材の木は本物と同じ年代のものが選ばれる。
素材より加工の年代鑑定の方がより困難とされることと、当時の接合剤は後から加熱などによって接着を偽れることから有効とされる。
「後彫り」が語源。
◆ニドヅケ【C】
加熱などで接合剤を溶解することなく、当時の接合剤の上から新たな剤を塗りこむ方法。
素人が行う殺し技とされ、鑑定師の目を欺くことは困難とされる。
「二度付け」が語源。
◆ヤキヅケ【C】
加熱によって接合剤を溶解させて木像を開いた後、再度 接合剤を冷却の上 塗り込む方法。
切断面に微かな焦げ跡などが残るものの、ニドヅケと違い、鑑定士も心眼の判断に苦慮する。
「焼き付け」が語源。
◆ヒラキ【B】
ヤキヅケ法の確立によって、木造蔵の流通・鑑定を警戒した市場に対し現れた後期型の手口。
従来のように木像が閉じた状態ではなく、開かれた状態で公開される。
このとき、中の財宝は偽物と替えられていても鑑定師は気づかないことが多い。
「堂々と人目に晒された状態であれば、偽物であるはずがない」という人間心理を利用した大胆な殺し技。
「開き」が語源。
◆ヨコヌキ【B】
ヒラキ法の蔓延によって現れた手口。
本来の接着面には触れず、別のところを切り抜き財宝をすり替える方法。
「接着面にヤキヅケの跡がなければ本物」という先入観を悪用した、ヒラキ同様の心理技。
「横抜き」が語源。
▼ヨコヌキ。心の隙を突く手口

▲10巻36頁より
最終更新 2025.08.15